2011年03月10日
鼻緒 ver3


真白い紙を握りしめ、袖で涙を拭い、あたしは駆けた。
鼻緒が千切れた下駄は、どこかに脱ぎ捨て、姉やのもとに駆けた。
「姉や、姉や」と何度も呼んだ。
涙は汗に混じり、唇に広がった。
姉やは死んでいた。
もうすぐ赤子が産まれてくるはずだったと、誰かが教えてくれた。
腹の大きい姉やは、力任せに、何度も何度もその腹に刃物を突き刺し、赤子を連れ添い死んでいた。
あたしは、姉やの真っ赤な突き出た腹に、十六夜の月を重ねた。
2010年11月23日
2010年11月16日
鼻緒 ver1

下駄の鼻緒が、ぷつんと切れた。
支えを失くした、あたしのお指さんたちは、ぽてと地面についた。
指先に触れた夏草の夕露が、少しばかりの涼しさをあたしにくれた。

十四(じゅうし)で嫁に行った、姉や(ねえや)のお里の便りが絶えて、三度目の十六夜月。
「姉や、元気かな・・・」
何も言わぬ十六夜月に、あたしは一人照らされた。
2010年11月07日
2010年10月17日
2010年08月25日
2010年08月17日
恋シテル! ver1

君に恋シテルよ、あたし今。
このまま、年をとってもずっと、きっと、君に恋シテル。
写真はいつか色褪せるけど、あたしのこの気持ちは変わらない。
「愛」なんてどれだけの深さかわからないけど、
「永遠」なんてどれだけの年月なのかわからないけど、
君に伝えたい、この気持ち。
このまま、年をとってもずっと、きっと、君に恋シテル。
写真はいつか色褪せるけど、あたしのこの気持ちは変わらない。
「愛」なんてどれだけの深さかわからないけど、
「永遠」なんてどれだけの年月なのかわからないけど、
君に伝えたい、この気持ち。